6月16日:Take Me Out to the Ball Game

思考は現実化する、とは日本でも一時期大流行りした有名な言葉だが、その通りかもしれないと思っている。やりたいことを心の底から思い浮かべてみたい。

いま、私が最もやりたいことは何だろうか?と考えたところ、答えは「サンフランシスコに行って、ジャイアンツの試合が観たい」ということだった。

2001年に、私は初めてアメリカに行った。1ヶ月の短期語学留学だった。担当の先生がサンフランシスコジャイアンツの大ファンで、授業ではMLB関係の用語を数多く使って教えてくれた。私にはこれがとても楽しくて、野球を通じて学んだ英語によって、学ぶ上でのハードルが下がった感じがした。

「打席に立つ」=At Bat.などの極めてカンタンな英語から、ホームランが飛び出した際のおなじみのフレーズ「Outta Here!」だったり、MLBの愛唱歌「Take Me out to the Ball Game」を通じて、おもしろい熟語やベースボールが根付いた文化的背景などを楽しく教えてもらった。今でも英語実況でMLBを楽しんでいるが、先生のおかげだと心から感謝している。

当時はバリー・ボンズがホームランを量産したり(最終的には73本の世界記録を達成した)、今考えてみれば、とんでもない年に渡米したものだと思う。

何より、イチローさんの存在が大きかった。

当時はイチロー選手がメジャー挑戦1年目で、既にものすごい盛り上がりようだった。2001年4月11日のアスレチックス戦のあの有名な「Laser beam!!(レーザービーム)」の直後に行ったのだ。どこに行っても、「日本人か?イチローはすごいやつだな!」という声が異口同音に聞かれたし、大学内では「シアトルがうらやましいよ」というぼやきが聞かれたり、ダウンタウンを歩いていたら「あんなやべえ奴を、いったい何故いままで隠していたんだ!?」と興奮したおじさんに絡まれたこともあった。

あるバーガースタンドに入った際には、「これは俺からのサービスだよ。」といって、店員のお兄さんが超ビッグサイズバーガーと、特盛りのポテトフライをサービスしてくれた。苦笑しながらも、友人と一緒に平らげたことを、昨日のことのように覚えている。

私にとっての原風景は、こうした人たちとの触れ合いと、スポーツの素晴らしさだ。

野球がこんなにも根付いているなんて、すごいことだなと驚嘆しただけでなく、スポーツって、素晴らしいな。こういうのがスポーツの魅力だよな。15歳のわたしは、心の底からそう思った。

小難しい話だけでなく、単純な楽しさも大切だと思う。ジャイアンツの本拠地であるAT &Tパークは、楽しさの聖地ともいえる場所だ。ホームランが入った時の汽笛、場外ホームランをボートで取りに行く人たち、レフトスタンドのコカコーラのオブジェ。ザ・サンフランシスコ、もっと言えばザ・アメリカという感じだった。これぞ、想像していた通りのアメリカ。アナウンスのショーアップされた感じも素晴らしいと思った。球場周辺が、いや、街全体がディズニーランドみたいだ、と、眼を輝かせていた。

スポーツについて嫌が応にも考えてしまう今だからこそ、原風景に立ち返りたい。スポーツの楽しさって何だっけ。それを、自分の原風景に当てはめて考えてみたい。今日は、そんなことを考えていた。

Thank you for Nick Jio