YOMP: Your Own Marching Pace 己が歩幅で歩め

YOMP: Your Own Marching Pace 己が歩幅で歩め

 

 

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ずっと行きたかった店に先日、ようやく行くことができた。

学芸大学にあるセレクトショップ「MAMNICK」だ。

「MAMNICK」は、イングランド製(Made in England)、とりわけ中北部の都市シェフィールドで製造されるプロダクトを扱うセレクトショップだ。

素晴らしい商品だけでなく、素晴らしい言葉にも出会った。

「英国の北国」ダービーシャー発のプロダクト「MAMNICK」

シェフィールドは、イングランドの中北部、ダービーシャーにある都市だ。

ダービーシャーといえば、英国有数の絶景スポット「ピークディストリクト国立公園」など、イングランドの中でも指折りの美しい風景がひろがる一帯で、英国好きの中には「全英でもっとも美しい景色」などという人もいる。

風光明媚な場所というだけではない。すぐ隣がマンチェスター、その先にはリヴァプールがあるという地の利もあって、産業革命以降、急速に発展した工業都市としての顔もある。

とくにナイフやフォークなどのいわゆる「金物」の発展は目ざましく、瞬く間に英国有数の都市へと成長した。

(ちなみにシェフィールド内には「シェフィールド・ウェンズデイF.C」「シェフィールド・ユナイテッド」という2つのサッカーチームがあるが、そのダービーマッチは「スティールシティ・ダービー」と呼ばれていることからも、土地柄が分かる)

また、いまでこそ非常にポピュラーな素材だが、当時まだ革命的な新素材として誕生したばかりの「ステンレス」の生産地としても世界的に名を馳せた土地でもある。

戦後、産業自体は最盛期に比べて縮小してしまったものの、今もなお高い技術力を維持している。イングランドにおける「金物のまち」なのだ。

そのシェフィールドを拠点としているのが「MAMNICK」なのだ。

MAMNICKのデザイナー、Thom Barnett氏。彼の祖父はシェフィールドで鉄工職人をしていたそうだ。身近でその仕事振りを見てきた氏だからこそ作れるプロダクトを、ひとつひとつ手仕事によって生み出しているそうだ。

ちなみに「MAMNICK」というのは、ピークディストリクトの奥深くにそびえる「MAM TOR」へ至る道のことを意味するとのこと。

目的地ではなく、そこに至るまでの道を冠するセンスも、いちいち最高じゃないかと思った。

「YOMP」との出会い

前置きが長くなってしまった。

私はそもそも、Instagramで見かけたステンレス製のマネークリップを購入しにいったのだ。

見るからに良質なステンレス製品である。

だが、全然関係ないところで素晴らしい商品というか言葉を見つけた。

「MAMNICK」ディレクターのShimoyama氏との会話がとても楽しくて、初見にも関わらず、つい長居してしまったのだが、氏と話し込んでいた際に、ある商品が目に止まった。

「YOMP」と印字されたホーロー製の白いマグカップだ。

YOMP…?なんだそれ。

まったく聞いたことのない言葉だったが、なぜかひき込まれるものがあった。

「YOMP」とは

私という人間は、一旦とある物事が頭にインプットされると、そればかりが目に入るようになるらしい。

MAMNICKには、YOMPを冠した商品がかなりあることに気がついた。

YOMPとは、「Your Own Marching Pace」の略語らしい。

MAMNICKのサイトにある「YOMP」関連商品には、このような説明書きがある。

「もともとは英国海兵隊の訓練から
生まれたスラングが起源となります。

長距離を重装備で何日も歩く訓練を
仲間と共に鼓舞しあい目的地へ向かう…。

今では「YOMP」という単語は日常でも
チームの絆や前へ突き進むという事で使用し
今なお訓練の名称として英国軍では存在してます。」

これを読んだとき、体に電撃が走った感じがした。

Your Own Marching Pace.

Your Own Marching Pace.

たしかに、言われてみれば「いかにも」な軍隊用語だ。

しかし、近頃はイングランド北部の男たちを中心に、一般人が使う合言葉としても使われているようだ。

こう言うとちょっとキモいかもしれないが、私はこのフレーズから「啓示」のようなものを得た感じがした。

ありがたいお言葉が天から降ってきた気がしたのだ。

「自らのペースで歩め(但し、周囲の大切な人間とは歩調を合わせよ)」と。

私はつい、ひとりで物事を進めがちだ。

それはそれで仕方がないことが多いので、ひとりで力強く歩む術を磨き続けないといけないのだと思っている。

でも、決して独りよがりであってはいけない。

周囲の仲間たちとともに、適切な距離感で、適切なペースでともに歩んでいこう。

こういうことなのではないかと思っている。

私の場合、のほほんと、のんべんだらりで生活していたのではいけない。

日々、自分を訓練して過ごさねば。

などと、秋の冷たい海風が吹きつける北国新潟で、ひとりぼんやりと考えていた。

YOMPのマグで一杯やりながら。

(もちろん、紅茶を!)

 

 

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