Hit the frog (and toad)

先日、久しぶりに多国間オンライン・ミーティングに参加しました。

アメリカ人が2人、オーストラリア人が1人、イギリス人が1人、そして日本人が(私含め)3人。

淡々と進行した、極めてビジネスライクな会合だったのですが、終了間際に空気が一変しました。

「ところで、もしかして君はコックニー(ロンドンの下町っ子)なの?」とイギリス人N氏。

「俺は違うけど、母親がロンドン出身なんだ」とオーストラリア人M氏。

「マジかよ!」と興奮するN氏。

会話はどんどんと盛り上がります。

そうしたら、×○△□…」

しかし、その後の会話はひと言もわかりませんでした。ものの見事に、何を言っているのかさっぱりわからない。

単語レベルでは、なんとなくわかるのです。ただ、断片的に単語が「漏れ聞こえてくる」感じといいましょうか。

旅行の話題になった刹那、突然”Frog”がどうのという話に。

私が「カエルがどうしたの?」と聞くと、驚くべき答えが返ってきました。

N氏曰く、”Hit the frog”がなんと「出発する」「出掛ける」という意味なのだとか!

わ、わからん…。

“Frog and Toad”で「道」を意味するらしい。

どういうこと…?

この表現は、コックニーでもオーストラリア英語でも使う人がいるらしい。

ただ、話者である本人らは由来など気にすることもなく使っているといるらしい…。

あることを思い出しました。数年前に訪れた大阪で、ある人(50代男性)から次のようなことを言われたのです。

「ほな、竹谷さん。茶でもしばきますか」

いきなり何を言われたのかわからず「…すみません、もう一度よろしいですか」と私。

関西地方における、喫茶店への同行を求める誘いであることを初めて知りました。

それと似たようなことなのかも…と無理やり解釈。

「Hit the frog and toad!!(おっしゃ、カエルしばこうぜ!)」=「よし、出かけようぜ!」みたいなことなのだろうか。

これ、いわば江戸っ子と佐渡っ子が突然方言で話し出すようなものだったわけで、普通の学習をしている非・英語圏の人間には分かりようがありません。

N氏によれば「コックニーというより、オーストラリアっぽい言葉なのかもね」とのこと。

「オーストラリア方言というのは、もしかすると、佐渡弁みたいなものなのかもしれない…」などと自分の中で無理やり解釈しました。イーストエンドの出身者がシドニーに渡り、ずっと下町言葉を話し続けていたのが定着(?)したのかもしれません。図書館に籠って詳しく調べてみたいものです。

考えてみれば、私がルーツを持つ佐渡も似たようなところがあるかも、と思いました。佐渡の小木というところは、少しだけ関西弁風の方言を話します。同地は私の祖母の出身地でもあるのですが、小さい頃から「なんでこんな不思議な言葉を話すのだろう」と思ったものでした。新潟から大して距離が離れていないのに。本人に聞いても「いや、そういうもんだし」で終わり。

佐渡で聞かれる関西チックな方言は、大阪風の関西弁というより、北陸風の関西弁に近いかもしれません。アクセントは京風であったり。ほとんど聞かれなくなった気がしますが、南部には九州っぽい言葉も残っていたりもします(語尾に「〜だけんね」など)。天領であり中央から人が入ってきたこと、北前船の寄港地であったこと、そして、流刑地であったことなどが関係しているのは間違いなさそうですが、方言の成立の詳細は判然としないことが多かったりします(詳しい親戚のおっちゃんに聞いても、半分は冗談みたいなエピソードが語られたりする)。

成り立ちなど知らない(忘れた)けれど通用している言葉って、たくさんあるわけです。文脈ではなく、プロトコルとして覚えないと理解不能な世界です。

不肖ながら「リスニングは少しだけ自信がついてきたぜ…」などと考えていたのですが、まだまだ全く知らない世界があることに衝撃を受けるとともに、言葉の多様性ってすごいもんだなあと思いました。

佐渡にもカエルが多く生息していますが、彼らを目にすると、コックニーやオージー・イングリッシュを想起してしまうかもしれません。

ついでに。

「TJ(私の愛称です)、日本にも方言があるんだよね。何か教えてよ」という話になり、せっかくなので、「新潟弁では『い』と『え』が逆転する。すなわち『いろえんぴつ』がどういうことになるかわかるな?」とか「とりあえず語尾に『Cha!!』をつけておけば、佐渡では歓迎されるはずだ」など、あまり実用的ではないことを、お返しとばかりに話しました。そうしたら、大ウケしてしまった。

きっちりした学習も大事だけれど、こういう肉弾&突発的コミュニケーションで楽しく学ぶこともまた外国語学習の醍醐味かもしれないなどと思った一日でした。また、一刻も早く平和が訪れて、実際に対面でこのようなやりとりをしたいもんだ、とも思いました。

現場からは以上です。

Photo by Ray Hennessy on Unsplash

2件のコメント

  1. Hello, TJ!

    面白い表現ですね〜。Hit the road! が「出かける」で、roadとライミングしているfrog and toadのfrogだけ残ってHit the frog! って言われても、困りますわ。アーノルド・ローベルさんもびっくりでしょうね。

    ニューヨークで編集会議中に突然、Get outta here!と言われたことがあります。まさか、このタイミングで私に出て行けと?くだんの編集者は、こういうイキの良い英語をふんだんに使う人で(しかも両手をバンバン振りながら)「すごい〜!」「まさか〜」的な意味合いでよく使っているようでした。

    ST

    1. STさま
      Thank you for your comment!

      なんと。びっくりする表現ですね。
      アメリカ人の友人から「アメリカ英語は比較的、訛りや方言は少ない」と聞きましたが、独特な表現に出会すことが意外と多くありますね。
      ニューヨークの方はアクセントやイントネーションもだいぶ特徴があるように思います。
      ちょっと江戸っ子っぽい感じなのでしょうか。笑

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