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小針十字路の坂で雪にハマった車両を延べ10台ほど救出しました。
その場に居合わせた男性ひとりと、女性ひとり、そして、わたし。この3人でひたすら押しまくりました。
んで、先ほどようやく帰宅。
もうヘトヘトです。ヘトリンチョです。
40手前のおじさんなのに、すでにもう筋肉痛がきているという事実が、コトの深刻さを物語っています。
乳酸が私の体内をぐるんぐるんに駆け巡っているのを感じます。こんなに全力で何台も車を押したのは人生初です。
当日の状況
まず状況を整理します。
2025年2月7日夜、気象庁新潟地方気象台は新潟県に「顕著な大雪に関する気象情報」を発表。大規模な交通障害の発生するおそれあり、との警告を発する。
新潟市松浜では、7日21時までの3時間に30センチの顕著な大雪を観測。
そうした状況下にあり、外出は控えていたものの、仕事終わりの家族をピックアップするべく、午後9時過ぎに自家用車(軽自動車、4WD)で自宅を出発。
ピックアップ後、道幅の細い小路は除雪がほぼ間に合っていないことを確認し、国道乃至道幅の広い市道等を選択。帰路に着く。
後述するように、スタックによる交通障害発生の可能性がある小針十字路の坂を避けようとするも、他の道路がもっとひどい状況のため、結局は当該の坂の登坂を決める。
数台先に停車していた車両が、発進時盛大にスタック。停車してしまったことによって後続車両も次々にスタック。渋滞が発生し、交通障害を引き起こすに至る。
男性がひとり救助に出ている姿を確認。うまくいきそうでいかない…という光景を目にする。
完全に自力での復旧が不可と判断し、私も救助に加わる。
1時間ほど救助活動に参加。結果的に交通障害は解消し、帰宅。
助かって良かったネ
助かったドライバーの皆さんに対し、まずは「よかったですね」と言いたい。
うん…。そう言って終わりたいのですが、もっと言いたいことがあります。
「身の丈を知った方がいい」ということです。
緩やかな坂は渋滞の原因であるとともに、車両スタックの起きやすい場所でもあります。
ですから、まずは、せめて自らの車の特性について把握しておくことをお勧めします。
別に「自分が乗るクルマの性能諸元を完璧に頭に入れろ」と申しているのではありません。
せめて「私の車は前輪駆動なのだな」「じゃあ、こういった性質の道は交通障害の発生源となる可能性が高いな」ということくらいは、頭に入れておいた方がいいのではないか?と思います。
数百万円のSUVだろうが高級セダンだろうが、こうした状況下では、最も簡単に登れなくなりますから。
これはついでに、勢いで卑近な例を書くのですが、私など40手前にもなって軽自動車に乗っています。もちろん、思い切り馬鹿にされますよ。「良い歳こいて甲斐性なしなのか?」とか思われちゃうのは普通のことです。
ただね、ほぼ街乗りオンリーですから、4WDの軽がいいのですワ。そんでさ、こういう事態になっても力技で乗り切れるんだっけね。それに、スタックしまくりの車がいるような道路をスイスイ駆け抜けられるすけさ。まったく何の不満もねえんだてば。みんなもっと軽の4駆を買うんだて。メインでなくサブカーでもいいすけ。
すみません、感情的になったら新潟弁が出ちゃった。
ついでに言うけれど、昔セダンに乗っていたときも、足回りのがっちりした車を選んでいました。今日のような降り方をした場合は、乗らないという選択肢をとっていました。どうしても、という時は家族に借りるなり、レンタカーで凌ぐなりしていました。それが雪国に生きるということなんじゃねえの、と思います。
というか、NBOXというクルマがとても好きなんです。
「ブーケファラスよりロシナンテに惹かれる性分ですので」とか言ってみたかった。
NBOXは駄馬ではないけれど、なんかこう、テケテケ走るけどやる時はやる!みたいな感じがします。まあ、それはいいか。
小針十字路の坂は魔の坂である
閑話休題。
甘く見ている方が多いのですが、小針十字路の坂のような「緩やかかつ、そこそこ距離のある坂」は、ぶっちゃけ「怖い」です。魔の坂であると言っても過言ではないと思います。私などは「なるべく通りたくねえな」と思っちゃいます。魚沼とか津南とか、北海道とか行く際には、こういう坂はなるべく避けます。
前述しましたように、前輪駆動車がひとたび除雪前の数十センチ圧雪道路を走行する際は、相当な確率で足回りを持っていかれます。
「登れないと判断できるようなら、坂を登ることを早々に諦める」ということも視野に入れるべきです。
要するに、Uターンして当該の坂の登坂を諦めるのです。
「それじゃあ帰宅できねえんだよ(怒)」とおっしゃる方もいるでしょう。
しかし、冷静になって考えてみてください。
2次、3次災害を引き起こすよりも良いではありませんか。
それに、たとえ坂の下でやりすごして待っていても、1、2時間も待てば除雪車が来ます。そういうこともあるので、ガソリンは満タンにしておくのが推奨されるわけです。
まあ、「雪国を舐めんな」みたいなことを言うつもりはないですが、冷静に、かつ俯瞰的に物事を見るということに関しては、お仕事でも日常生活でも役に立つと思います。世の中のためにもなります。
助けてもらう側の事前知識と度胸も必要
「助けてもらう方」にも心構えと、テクニックが必要です。
こういった素晴らしい動画がタダで観れるたいへん素晴らしい時代ですから、ぜひ観てみてはいかがでしょう。別に正座してみる必要はありません。風呂に入りながらでも良いと思います。
冬場は常に砂袋とスコップをクルマに搭載することも強く推したいと思います。
また、運転には度胸も必要です。
タイヤが空回りしていると焦りますが、「まずはこの難局を自らの手で乗り切らねばならぬ」という意気と、その思いを駆動する度胸を涵養することが大切です。あと、助けを求める勇気も。さっさと救助を求めたほうがいい場合が多いです。
また、途中、我々にお礼を言おうとして止まろうとしたり速度を落としたりするドライバーもいました。
「止まるな!そのまま駆け抜けろ!」と半ば怒鳴り気味に叫んですみませんでした。なぜなら、あなたがもう一度坂の途中で止まってしまうと、元の木阿弥どころか、最悪、2次災害になるからです。
今回のようなケースでは、心を鬼にして駆け抜けてください。
ただ、お礼を言いたくなるその気持ちは素晴らしいものです。
人間の心のあたたかさを垣間見た思いがいたしました。
もし今後、今夜のあなたと同じような苦境に陥ったひとを前にした場合は、少しだけでいいので、助けてあげてくださいまし。痛い目にあって多少勉強すればできるはず。何を隠そう、私もそうでした。
ただ、対向車や後続車両には重々、注意してください。体力に自信のない方は、男に任せましょう。
言いたいことはこれです
なんでこんな文章を書いているのかというと、一緒に救助を手伝ったおふたりに「お疲れ様でした」と言いたかったからです。何も言わずに去ってしまいましたので。
冒頭でもちょっと書きましたけれど、現場では背の高い、とても感じのいいお兄さん、これから夜勤だという若いの女性(看護師さんでしょうか)、そしてわたしの3名。基本的にこの3人で、ひたすら押し上げるのを繰り返したのでした。
この零細ブログを見てくださっている可能性は皆無に等しいでしょうけれど、素晴らしい時間を共有できたと思います。死にさえしなければ、何事もネタになりますし。ある意味、美味しかったのかもしれない。人生にちょっとだけ艶が出るかも。
そしてなにより「ああ、新潟もまだまだ捨てたもんじゃねえな」と思いました。いいものを見させていただいて感謝です。
「嗚呼、こんな美しいひとがいるのか」と思いましたよ。「この2人に良いことがあってくれ」と心から思います。
同時に「大丈夫かこの人」というドライバーも増えたな、というのもまあ正直な気持ちですけれど。
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